朝
部屋の隅が光で削れている
窓の近く
そこにあなたの下着が落ちている
昨夜からずっとそこで息をして眠っている
美術館の最後の部屋にある額縁
ひっそりと手を振る果物にあなたの下着は似ている
手を伸ばす
どうしても欲しい
〝赤いリンゴ〟
人類が最初に描いた一枚
夜のこと
あなたの素晴らしいところ
左の指を捨ててしまうところ
あなたは人の妻で
誰かの母です
わたしはあなたと終わる日のことばかり考えている
ひどい熱にうなされている子供よろしく
救いを求めている
あなたと共に生きること
死ぬこと
最後の部屋にある額縁
わたしはシーツに頬をつけたまま眺めている
あなたはわたしの罪で
確かな愛です
ひっそりと手を振る赤いリンゴ
手を伸ばす
どうしても欲しい
〝愛について〟
人類が最後に描く一枚