マグノリア、甘い花

付箋のついたページにはあなたがいる

マグノリア

白い花

言い終えた言葉は幻と同じ

あなたは夢と気づかぬ夢のようだった

霜を落とした春が風で花を散らす

最後にゆびさきから少女が抜け落ちると、わたしの体には女が滲んだ

レースもビーズもなくしてしまった

女がわたしの手を打って

なくしてしまった

あなたはそれを待っていた

通りの花が今年も咲くように

それを知っていた

マグノリア

甘い香り

感動がわたしの体に奥行きを持たせている

あなたがそれを押し広げていく

わたしたちの女が滲んでいる

あなたはまた奥へと進む

怖かった

霜を落とした春に風で花が舞う

マグノリア

惨い花

読み終えた物語は幻と同じ

あなたは夢と気づかぬ愛のようだった